上唇粘膜切除術とはどんな治療?
上唇粘膜切除術(LIP:Lip repositioning)は、上唇の裏側(口腔内)にある粘膜を帯状に切除し、縫合することで上唇の動く範囲を制限する外科処置です。
笑ったときや話したときに上唇が過剰に引き上げられ、歯茎が多く見えてしまう「ガミースマイル」を改善します。特に上唇挙筋群(上唇と小鼻を引き上げる筋肉)が過度に発達している方に適応となる治療法です。
手術時間は約30〜60分、局所麻酔で行われるため入院の必要はなく、傷口は口の内側のため外から見えません。1〜2回の通院で治療が完了するのが一般的です。
どんな方が適応になる?
上唇挙筋が発達している方
笑うと上唇が3mm以上引き上げられ、歯根元が一定以上露出してしまう場合
筋肉性ガミースマイルの方
骨格や歯の問題ではなく、唇の動きに原因があるガミースマイルに最も効果的
矯正を希望しない方
歯列矯正やセラミック治療ではなく、唇の動きを直接制限したい場合
通院回数を少なくしたい方
最短2〜3回の通院で完了するため、忙しい方にも選ばれる治療法
デメリット・リスク 一覧
上唇粘膜切除術の主なデメリットは以下の5つです。それぞれの程度と期間を確認してから、治療を検討してください。
| デメリット | 内容 | 程度 | 期間 |
|---|---|---|---|
| ① 術後の痛み・腫れ | 術後数日間は腫れ・疼痛が生じる | 中程度 | 3日〜1週間 |
| ② ダウンタイム | 人前での仕事・外出を避けるべき期間がある | 中程度 | 約2週間 |
| ③ 後戻りのリスク | 筋肉の再発達により徐々に戻る可能性 | 要注意 | 長期的 |
| ④ 傷口・瘢痕 | うっすらと傷跡や違和感が残る場合がある | 軽度 | 数ヶ月 |
| ⑤ 引きつり感・運動制限 | 一時的に唇が引きつった感覚になる | 中程度 | 1〜2週間 |
上唇粘膜切除術のデメリット5つを詳しく解説
① 術後に痛みや腫れが出やすい
上唇粘膜切除術はメスを使用する外科的処置のため、術後に一定の炎症反応が起きるのは自然なことです。腫れのピークは術後24〜48時間ほどで、その後徐々に改善していきます。疼痛(痛み)についても同様で、処方される鎮痛剤の内服で対応できる程度です。
術後の腫れが完全に引くまでは3日〜1週間程度かかるのが一般的です。人によっては内出血が生じることもありますが、2〜3週間程度で消退します。
② ダウンタイムがある(目安:約2週間)
上唇粘膜切除術後は、縫合部位が安定するまでの期間(ダウンタイム)が必要です。術後1週間程度は創部が裂けないよう(哆開予防)、口唇の激しい動きを制限する必要があります。
抜糸は術後1〜2週間後に行い、それをもって治療が完了となります。腫れが目立つ初めの数日〜1週間は、接客業やお顔の映る仕事・大切なイベントがある場合は事前にスケジュール調整をすることが望ましいです。
③ 後戻りする場合がある(最重要リスク)
上唇粘膜切除術の中で最も注意が必要なデメリットが後戻り(再発)のリスクです。上唇挙筋群(上唇を引き上げる筋肉)が術後も再び発達した場合、徐々に唇が以前のように上がりやすくなってしまうことがあります。
また、ガミースマイルの原因が骨格や歯にある場合は、粘膜切除術だけでは根本解決にならず、後戻りのリスクが高まります。治療前に原因をしっかり診断することが非常に重要です。
④ うっすらと傷口・瘢痕が残る場合がある
手術は口の内側(上唇裏)で行うため、外側から傷跡が見えることはありません。しかし、外科処置の特性上、結合組織の増殖による瘢痕(傷跡)が形成されるリスクがあります。多くの場合は術後数週間〜1か月程度で粘膜も目立たなくなりますが、まれにうっすらと傷跡の感触や見た目が残る場合があります。
また、施術量や切除位置が適切でない場合、「笑うと傷口が見えてしまう」といったトラブルが起きる可能性もあります。これはクリニックの技術力・経験値に依存するリスクです。
⑤ 一時的に引きつった感じがする場合がある
術後しばらくは、上唇が「引きつる」「突っ張る」「違和感がある」といった感覚を覚える方が多くいます。これは粘膜が短くなることで生じる感覚で、多くの場合は術後1〜2週間で改善します。
また、術後1週間程度は創部が安定するまで口唇の動きが制限されるため、大きく口を開けたり、強く唇を動かしたりすることが難しい期間があります。口角が一時的に引きつったように感じたり、内出血が生じたりすることもありますが、これらは一過性のものです。
治療の流れ
無料カウンセリング
ガミースマイルの原因を診査。骨格・歯・筋肉のどこに主因があるかを丁寧に診断し、上唇粘膜切除術が適応かどうか確認します。希望する仕上がりと粘膜の制限量のイメージを共有します。
麻酔
まず表面麻酔ジェルを塗布し、その後局所麻酔を注射します。表面麻酔を先に行うことで注射の痛みを大幅に軽減します。
粘膜切除・縫合(約30〜60分)
上唇と歯肉の間の粘膜を帯状に切除し、調整した位置で縫合します。傷口は口の内側にあるため外から見えません。
術後ケア・経過観察
腫れは3日〜1週間でひきます。術後1〜2週間後に抜糸を行い治療完了となります。口唇の動きを制限するため激しい口の動作は控えます。
定期的なメンテナンス
後戻りリスクを最小化するため、定期的な経過観察と口角トレーニングを継続します。
術後の注意事項
- 術後しばらくは硬い食べ物・熱いもの・辛いものを避ける
- 強いブラッシングは一時的に控え、処方薬の指示を守る
- 喫煙は傷の治癒を遅らせるため、術前後は禁煙が推奨される
- 口を大きく開ける動作(あくび・大笑い)は術後1週間程度控える
- 引きつり感・腫れが長引く場合は早めにクリニックへ相談する
メリット・デメリット・リスク まとめ
✅ メリット
- 手術時間が短く通院回数が少なくて済む
- 上唇を持ち上げる筋肉が原因のガミースマイルに最適
- スマイルラインを美しく整えられる
- 骨格に原因があるガミースマイルも改善する
- 笑った際に上唇が薄くなることを防げる
- 傷口が口の内側のため外から目立たない
- 局所麻酔で対応でき入院不要
⚠ デメリット・リスク
- 術後に腫れ・痛み・内出血が出ることがある
- ダウンタイムが約2週間ある
- 後戻りする可能性がある(最重要)
- 瘢痕・傷跡が残る場合がある
- 一時的な引きつり感・運動制限が生じる
- 再治療は1回程度が限度
- 骨格・歯が原因の場合は効果が限定的
ガミースマイル治療法の比較
ガミースマイルの治療法はさまざまです。原因に合った治療法を選ぶことが重要です。上唇粘膜切除術の位置づけを他の治療法と比較して確認しましょう。
| 治療法 | 手術時間 | ダウンタイム | 持続性 | 後戻り | 傷跡 |
|---|---|---|---|---|---|
| 上唇粘膜切除術 | 30〜60分 | 約2週間 | 長期 | △ あり | 口内 |
| ボトックス注射 | 5〜15分 | ほぼなし | 4〜6ヶ月 | × 必ず戻る | なし |
| 歯冠長延長術 | 30〜90分 | 1〜2週間 | 長期 | ○ 少ない | 口内 |
| 歯列矯正 | 長期間 | 継続的 | 長期 | △ 保定次第 | なし |
| 骨切り手術 | 2〜4時間 | 数週間〜月 | 長期 | ○ 少ない | 口内 |
上唇粘膜切除術は、ボトックス注射と比較して効果の持続期間が長く、骨切り手術と比較して身体的負担が少ないという位置づけです。ただし、後戻りリスクがゼロではないこと、外科処置であることは覚えておく必要があります。
デメリットを最小限にするクリニックの選び方
- 症例数・実績を確認する — 上唇粘膜切除術は高い技術力が求められる治療です。年間の症例数が多く、ガミースマイル治療を専門的に行っているクリニックほど、後戻りリスクや傷跡トラブルを防ぐノウハウを持っています。
- リスク説明が丁寧かどうか — カウンセリングで「後戻りしません」「デメリットはありません」と断言するクリニックは要注意です。正直にリスクを説明し、患者一人ひとりに最適な切除量・切除位置を提案してくれるクリニックを選びましょう。
- 原因診断をしっかり行うか — ガミースマイルの原因は骨格・歯・筋肉とさまざまです。根本原因を正確に診断して適切な治療法を提案するクリニックが信頼できます。
- 術後のアフターフォローがあるか — 後戻りが起きた場合の対応方針や、定期経過観察のフォロー体制が整っているかを確認しましょう。口角トレーニングの指導など、術後のサポートも重要なポイントです。
よくある質問(FAQ)
監修医師紹介

- —日本大学松戸歯学部 卒業
- —東京医科歯科大学病院 勤務
- —都内審美歯科医院 → 赤坂美容クリニック
- —ニューオータニ 歯科診療部長
- 2007米UCLA歯学部 留学 インプラント外科・審美歯科・疼痛管理ほか 5プログラム修了
- —SBC湘南美容外科 審美歯科部長・審美歯科責任者
- 2014〜表参道デンタルクリニック 表参道審美歯科 院長(現職)